全く知らない土地で泊まるところを探すのは容易なことではないがとにかく歩き回って探すことになった…
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注意
この記事は私の失踪時の体験談となっていますが失踪による事件等に関与した内容ではありません。
この記事は失踪及び犯罪を助長する内容ではありません。また特定の人物に危害を加えるものではありません。
品川駅に到着した。先程まで雨が降っていたため地面は濡れていたが雨は止んでいるので歩き回ることはできそうだ。
しかしこのまますぐには歩けそうにない。東京は沖縄と違って3月はまだ寒い、まずは厚着をしよう。
リュックサックの中からコートを取りだし羽織った。
沖縄では暑すぎて着れないがここでは丁度いい、気を取り直して品川周辺を探索する。
しかし土地勘がないので都合よく泊まる場所を見つけるなんてできない。
駅の近くにはビジネスホテルはあるがネットカフェは見つけきれなかった。
朝の疲れが残っているので出来るなら早めに今夜泊まるところを決めたい。
だが、なるべくはビジネスホテルより安いところで泊まりたいでもある。
このまま品川駅周辺を回っても見つからなさそうなので電車で移動することにした。
次に向かうのは東京駅。名前からして大きなところなのは間違いないし、東京駅なら周辺にネットカフェの一つや二つはあるだろう!
安直な考えだが少しでも可能性があるところにしてみよう、そう思い駅に戻り東京駅行きの切符を購入した。
もう23時前だというのに駅には帰りの電車に乗るためサラリーマンが大勢た。
それに電車もまだたくさん運行している、やはり都会は違うなと感心していたのはいいが路線が多過ぎてどの電車にのっていいかわからない。
駅員に聞いてみたものの迷ってしまい電車に乗り遅れてしまった。
だが流石は東京といったところか、その3~4分後には別の路線から東京駅行きの電車が出た。
やはり都会は違う!よく分からない感動だがすぐに電車に乗れたのはいいことだ。
電車の中は流石に時間が時間なので乗客は少なかったがそれも好都合、私は靴を脱ぎ思い切り足を伸ばす。
東京駅まで数分の間ではあるが休憩できた。
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東京駅に着いたのはいいが東京駅は広すぎる!案内表を見てもどこから出ていいかわからない。
東京駅は広すぎて迷子になるとは聞いたことがあるがまさかこれほどとは…
ただ店は閉まっている分余計な情報も人混みもないのでいくらかは進みやすくなっていたと思う、昼間の東京駅を見てみたかったが観光目的でここに来たわけでもないし今は足に疲れが出ているので大人しく駅から出た。
どの出口から出るのがいいかさっぱりわからないのでフラフラと歩き丸ノ内口から外に出た。
周囲は大きなビルがいくつもあっていかにも都会という感じだ。
ただ街並みを見ているのも悪くないがここには灯りがない。
周囲にはネットカフェどころか飲食店の看板も見当たらない。
いい加減休みたいので泊まる場所探しを再開する、同然ここにも手がかりなどないが灯りがあるところを目指して歩きだした。
いくら都会といってもこんな時間だし人のいない建物もある。なんならビルの入り口のところで寝袋を出してそのまま横になりたいがそんな度胸はなかった。
失踪する直前は野宿するのも承知で飛び出したが実際に東京に来てみれば弱腰になっているし、明日には旅行代理店で帰りのチケットを購入する気でいる。
結局のところ私はそういう人間なのだ、それを再確認できただけでも今はよしとする、ランナーズハイになったのか単に東京に来て浮かれているのかはわからないが変に前向きだった。
そのおかげで未知の東京を歩き続けていられたのだろう…
やがて灯りのあるところへ出た。
眠らない街というのだろうか?ここは深夜でも人が多いし、開いてる店もいくつもある、ネットカフェも割と早く見つかった。
しかし料金プランが高い、今から入って朝の8時まで灯ったら3600円もする。
東京だから高いのか?しかし都内でも3000円以内で泊まれるネットカフェはあるはずだ。
とりあえずここで泊まるのはやめておく。
隣にカラオケ屋もあるがここもお高い店構えをしていたので朝まで過ごすには金がかかり過ぎる。
安く泊まれるならカラオケやサウナなどでもいいがPCかWi-Fiがあるところが望ましい。
情報源がまるでないのは非常に困る。せめて旅行代理店の場所くらいは調べないと帰ることもできない。
こんな時スマホがあれば困らないだろうが失踪する身でスマホなんて持ち歩けるわけもないが今日1日、スマホがないだけでここまで苦労することになるとは…
ないものは仕方がない、条件に合うところを見つければいい。私は更に歩き続ける。
歩き続けるとバーやクラブが建ち並ぶところへ出た。周囲を見渡すと銀座の文字が見え、ここが銀座だと気付く。
歩き続けているうちに東京駅周辺からとっくに離れていたのだ、だが条件に合う場所で泊まれるならそこは問題ない。
問題があるとするなら銀座は「高級店」のイメージがあることだろうか。
銀座で見つかる気がしなかったのでとっくに足は限界だが更に歩き続けることにした。
こんなに長時間歩いたことなんてそうはないが立ち止まれる場所すらない以上歩くしかない。
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大通りにいては見つからないと思いここからは裏通りを歩く。
だが裏通りに入った途端、呼び込みのために声をかけてくる人が出て来た。
うっかり捕まったら帰るどころではないだろう、ここはとにかく無視だ!
その後も何人かに声をかけられるが全て無視だ!!
相手に顔を合わせてはいけない、返事もしない。今は気をしっかり持って自分を守らないといけない。
だが流石に怖くなってきたのでいい加減泊まる場所を見つけなくては。
やがて呼び込みの多い地帯を抜け少し落ち着いたところに出た、その辺りではサウナやカラオケ屋の看板もすぐ見つかった。
これならネットカフェも見つかるかもしれない、疲れているので、もうカラオケ屋で朝まで過ごしてもいい気もしたが、これで最後だからと言わんばかりに周辺を探し回る。
すると「個室店」の看板を見つける。DVDを借りて部屋で観るところだが詳しい説明は割愛する。
個室店も部屋はネットカフェの個室と大体似たようなものだ、条件に合うならここでもいい。
料金表を見てみると、ナイトコースなら朝の10時まで居れて2650円、コースにはシャワーにタオル、歯ブラシもついてくる。それにパソコン使用可能とのこと。
ここだ、ここにしよう!!
私は店内に入った。
チェックインを済ませた後で気付いたが、この時すでに0時を回っていて店名には「新橋店」と書いてあった。
私は品川から電車で東京駅に着いた後、歩いて銀座、新橋と歩き回っていたようだ。
我ながらよく知らない土地でここまで歩けたものだと驚いた。
もうDVDなんて観ている気力もない。
調べたいこともあるが今はまず休もう。
こうして私の失踪初日は幕を閉じた……
三十路手前の失踪者【2日目】に続く…
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